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2023年10月22日聖日礼拝説教要旨

聖書箇所 使徒行伝23章23節~35節 


         「私たちの願いの成就」  


「これらの事があった後、パウロは御霊に感じて、マケドニヤ、アカヤをとおって、エルサレムへ行く決心をした。そして言った、『わたしは、そこに行ったのち、ぜひローマをも見なければならない』。」 
(使徒19章21節)

「あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである 」
(ピリピ書2章13節)


「その夜、主がパウロに臨んで言われた、『しっかりせよ。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなくてはならない』」
(使徒23章11節)


パウロが、「歩兵二百名、騎兵七十名、槍兵二百名」のローマ兵に守られて(使徒23章23~24節)、危険なエルサレムの都から総統府のあるカイザリヤの港町に護送されるに当たって、司令官である千卒長が総督のペリクス宛ての手紙を認め、騎兵に持たせて届けさせたのでした(23章25節~30節)。

その手紙の中に「クラウデオ・ルシヤ」とあるのは、大金を叩いて「ローマ市民権」を得た千卒長のことです(22章28節)。「クラウデオ」というのは、彼が「ローマ市民権」を得た時代のローマ皇帝「クラウデオ」の名前から付けたもので、「ルシヤ」はギリシャ人の名前と聖書学者は言います。

その「手紙」には、エルサレム神殿でユダヤ人に捕まり殺されかけていたパウロが「ローマ市民」であると知った千卒長ルシヤが、パウロを救い出したところ、パウロが訴えられている理由は死刑や投獄に当たらないことが判明したこと、更にパウロへの暗殺計画があって総督ペリクスの許での裁判を受けせて下さいということが書かれていました。その内容の一部は、千卒長の保身のために事実とは食い違いますが、この手紙でパウロは「神様の定められたローマへの旅路の第一歩」を具体的に踏み出すことができ、パウロの命を狙う「ユダヤ人たちの殺意」からも完全に守られることになったのです。

神様は、このように御自分の計画を人を用いて一つ一つ成就していかれます。現代の私達の信仰生涯にも一つ一つ神様の御心が成就しています。「どのような事のなかにも神様が働いておられる」と気付き、主の聖名を崇めることは幸いです。

パウロの生涯で、特にこの「ローマへの旅路」において、どのように「主なる神様の御心」が成就したかを知るなら、私達の信仰生涯でも「御心が成就する」ために何に気を付けたらいいのかが分かります。そこで、パウロの信仰生涯での「ローマへの旅路」の「起点(始まり)」から見て行きましょう。

 パウロが「ローマへ旅路」を意識し始めたのは、3年間滞在して多くの祝福をいただいた「エペソの町での伝道」で佳境を迎えた頃でした。「使徒行伝19章」には「これらの事があった後、パウロは御霊に感じて、マケドニヤ、アカヤをとおって、エルサレムへ行く決心をした。そして言った、『わたしは、そこに行ったのち、ぜひローマをも見なければならない』。」(19章21節)とあります。

 それは、「御霊(聖霊)に感じて」与えられた「将来の願い」でしたが、神様から与えられたものなので時が経つと共に成就していきます。このことについて、「ピリピ人への手紙」には「あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである 」(同書2章13節)とあります。皆さんの今までの信仰生涯の中にも、「思いや願い」が与えられて「時至って、成就した」経験がいくつかあるかもしれません。

私が21、2歳の頃「献身して牧師、伝道者になるためにイギリス(の神学校)に行きたい」という思いが与えられたのですが、他のイギリスに留学した青年たちとは違い「道」は開けませんでした。しかし、「献身の思い」はなくならずに、結婚して長女の真理が授かって、やっと「神学校への道」が開かれました。もう34歳になっていました。でも、「ピリピ人への手紙2章13節」の通り「あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである 」【2回】(ピリピ書2章13節)とある通り「献身の願い」は聞き入れられ成就しました。

 因みに、イギリスの神学校に行けず、10数年して結婚し長女を授かって関西聖書神学校に入学したのですが、その後の4年間に家内と長女はこの山手教会でお世話になり良きお交わりを頂きました。そのことが山手教会にお招きいただいた一つの事としてあったのではと思います。神様のなさることは、「そつなく(無駄なく)」、自分では分からないことでも、神様のご計画が一つ一つ進んでいます。

 ですから、皆さんのお心の内に与えられている「願い」を大切にしてください(ピリピ書2章13節)。その「願い」の成就のために祈り続けて下さい。

パウロの「ローマへの旅路」に関して、もう一つの主なる神様からの具体的なアプローチは「その夜、主がパウロに臨んで言われた、『しっかりせよ。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなくてはならない』」(使徒23章11節)と語り掛けられたことです。この時パウロは、混乱したサンヘドリンの議会の裁判や、「将来の見えない」現状などに失意落胆していたに違いないと思いますが、主なる神様から「しっかりせよ。あなたは、・・・ローマでもあかしをしなくてはならない」と御言葉をもって「励まし」と「神様のご計画」をハッキリと示されました。

神様の励ましと、この御言葉の「ローマ行き」の宣言でパウロは立ち上がり、ユダヤ人たちの殺意に晒されながらも一歩一歩ローマに向かって歩みを進めていったのでした。そして、今日の聖書箇所の「千卒長クラウデオ・ルシヤ」の手紙で、パウロは、「神様の定められたローマへの旅路の具体的な第一歩」を踏み出すことになりました。その後、途中のカイザリアの港町の総督の官邸にある独房で、2年間足止めされることになったり、地中海で嵐に遭って船が難船して海に投げ出されたりして大変な事もありましたが、主の御言葉は成就して「ローマ」に到着して「ローマ皇帝カイザル」の前で福音を証したのでした。

現代の私達もパウロと同じ神様を信じ、同じ主イエス様を仰いて、今、礼拝を捧げています。ですから、私達も与えられた「願い」を実現していただけるのです。また、具体的に「御言葉の約束」が与えられて成就していただけます。

 私達は、日曜ごとの礼拝で御言葉を与えられ、毎日の「静まりの時」に聖書に親しむことで「御言葉」に励まされ、一歩一歩、前に進みましょう。「願い」は実現し「御言葉」は成就します。

                     2023年10月22日(日)聖日礼拝説教要旨 竹内紹一郎