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平和をつくりだす人は

『あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい』。

　　　　　　　　　　　　　　　　（ローマ書１２章１８節）

　明日は71回目の終戦記念日です。そこで「平和」についてお話します。前掲のみ言葉のように人類が平和であることは神の願いであります。マタイ福音書５章９節でも、「平和をつくり出す人はさいわいである。彼らは神の子と呼ばれるであろう」とイエスは語っておられますが、神は平和を守る者を愛し、祝福を与えられるのです。それなのに、何故人間はいたずらに争うのでしょうか、それは罪人だからです。ローマ書３章１２節に「彼らの足は、血を流すのに速く、彼らの道には、破壊と悲惨とがある。そして、彼らは平和の道を知らない」とあります。

　しかし、神は平和を守る者を愛されるのです。今から三千年ほど昔、イスラエルにソロモン王がいました。その国は「ソロモンの栄華」といわれるほど繁栄したのです。彼は平和の王と言われ、エルサレムに神殿建築のために７年間、そして王宮建築のために１３年間も、合わせて２０年間も建築事業に没頭したのです。そして聖書では「四方に太平を賜ったから」とあります。つまりソロモンの時代は近隣諸国の間が平和だったからです。もし近隣諸国と紛争状態だったら、二十年間も悠長に建築事業に没頭することができなかったでしょう。

　今日の日本の繁栄は、日本が戦後新憲法で戦争放棄をし、その叡知を平和産業に注いできたからです。わたしたちの子どもの頃は「メイドインジャパン」と言えば「安かろう悪かろう」と言って、粗悪品の代名詞で、子供ながら恥ずかしい思いをしたものです。ところが、今は世界のブランドになり、世界中が「メイドインジャパン」を高級品として買い求めているのです。これは言うまでもなく七十年間、日本が平和を守って平和産業に力を注いできたからです。

　それに比べて戦勝国であるアメリカは、太平洋戦争の終結後、間もなく北の共産軍が南下したとして朝鮮戦争に参戦しました。しかし共産軍の南下を三十八度線で阻止したものの、休戦状態で終わり勝利なき戦いでした。（今も南北朝鮮は休戦状態なのです）

　その後、フランスの植民地であるベトナムで、ホーチミンが率いる共産軍の南下を阻止するために、アメリカがフランスに代わって参戦し、熾烈な戦いをしましたが、共産軍の南下を阻止することができず首都サイゴンは陥落し、アメリカ軍は撤退したのです。まさしく勝利なき敗北でした。

　次に、１９９０年にイラクのフセインが隣国クエートに侵略したため、フセインの野望を挫くためにイラクに軍隊を投入しました。これが湾岸戦争です。そしてフセインの政権を打倒したものの完全な勝利とはなりませんでした。またアルカイダを殲滅するためにアフガニスタンに兵力を投入したり、また今もイスラム国（IS）の暴挙を挫くために泥沼のような戦闘を続けています。アメリカは「世界の警察」という使命はいいのですが、そのために国力は著しく低下してしまいました。

　戦後、為替相場が１ドル３６０円でしたが、１９７８年にはプラザ合意で為替の自由変動相場で１ドルが２００円になり、そして１９９３年には１ドルが１００円までになりました。そして、ここ２，３日は（８月１４日現在）１０２円になっています。これはアメリカドルよりも日本円のほうが強くなっているということです。

　戦争は、多くの命を奪うだけでなく国力を失うのです。第二次世界大戦の勝利国であるイギリスは、敗戦国であるドイツよりも犠牲を被ったと言われています。つまり戦争では本当の勝利者はいないのです。

　ところが最近、再び憲法改正したり、戦争を、経験しない政治家たちが「安保保障関連法案」を改正し、集団的自衛権の行使を認めようとしています。日本が再び誤った道に進まないように祈らなければなりません。

　終わりにアブラハムの息子イサクのことを学びましょう。彼は争いを好まない平和な人として描かれています。イサクはペリシテの地で百倍の収穫を得たために、ペリシテの人たちが妬んで無理難題を言って、彼らの土地から追い出しました。またゲラルの谷でも井戸を塞いで追い出しました。しかもこの井戸はアブラハムが掘った井戸ですから、当然イサクに権利がありましたが、彼はそれを主張して争いませんでした。そして自分たちの土地ベエルシバまで帰ってきましたら、ゲラルの人たちがやってきて、平和条約を結ぼうと言ってきたのです。しかも「われわれはあなたに害を加えたことがなく、ただよいことだけをして去らせたので…」と言ったのです。さんざん嫌がらせをしておきながら、よくもこんなことを言えたものです。でもイサクはすべてを赦して、彼らの求めとおりに条約を結んで帰したのです。

（2016．8.14）