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2016年1月24日

イエスの第二の奇跡

 

『イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。その下って行く途中、僕たちが彼に出会い、その子が助かったことを告げた。そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ」と言われたのと同じ時刻であったことを、この父は知って、彼自信もその家族一同も(イエスを)信じた』。 (ヨハネ福音書4章53節)

 

 

 これはガリラヤのカナで第二の奇跡が起こった出来事でした。第一の奇跡は同じカナでイエスが、婚宴の場で水をぶどう酒に変えてその家の窮地を救った出来事でしたが、今回はひとりの息子を危篤のなかから救った出来事でした。

 

 カペナウムからイエスの噂を聞いて、ヘロデ王に仕える役人がイエスのところに来て、自分の息子を救って欲しいと言ってきたのです。この父親はヘロデ王に仕えるかなり高官のようです。ところがイエスは「お帰りなさい。あなたのむすこは助かる」と言われましたから、その高官はイエスの言葉を信じて帰る途中、僕に会い、その息子が助かったことを告げましたので、父親がそのなおりはじめた時刻を聞くと「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えましたが、その時刻はイエスが「あなたの息子は助かるのだ」と言われたのと同じ時刻だったのを知り、彼自信もその家族もイエスを信じたのです。これは決して偶然ではありません。彼が信じたときに奇跡が起こったのです。

 

 わたしたちの回りにもこれと同じような話があります。昔、京都の女学生が盲腸をこじらせて腹膜炎になってしまいました。お父さんは医者でしたが、もう手遅れだ、あとは神さまに委ねるより仕方ないと、東京の落合の柘植不知人先生に電報を打ってお祈りをお願いして、ご自身もひたすら神に祈っておられました。それをみて長男(この)人も医者でしたが。「なにもしなくて殺すのか」と憤慨しましたが、お父さんはひたすら神に祈り続けておられました。実は、つい先日、京都大学に教授の息子が同じように腹膜炎の手遅れで亡くなったばかりだったのです。

 

 ところが、不思議なことに熱が下がりだしました。そして、すっかりよくなったのです。これは神がなされた奇跡としか言いようがありません。それからしばらくして東京の柘植不知人先生から電報が届きました。その内容は、「井戸の水は吸い枯らせり。汝の病、すでに癒されたり」という内容でした。そこで、この電報が打電された時刻を見ると、なんと、その病人の熱が下がりだしたのと同じ時刻だったのです。先の役人の息子の奇跡と全く同じでした。それから何十年か後にその方のお葬式をいたしましたが、その時にこの話を致しましたが、家族も子供たちも、誰も知らないことでした。

 

 詩篇107篇20節に『彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された』とあります。つまり、柘植先生が祈って与えられたみ言葉がその女学生を危篤の病から救われたのです。

 

 またマタイ福音書8章5節以下にも、百卒長の僕が中風で苦しんでいるとき、イエスのところに来て、「ただお言葉を下さい。そうすれば僕はなおります」と言って来ました。イエスはそれを聞いて非常に感心され、「イスラエス人の中にも、これほどの信仰を見たことがない」と言われました。そしてイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われると、「すると、ちょうどその時に、僕はいやされた」のです。

 

 わたしもこんな経験があります。ある晩、教会員の家族から電話があり、「父が強度の不眠症でもう三日も眠れなくて苦しんでいます。先生、助けてください」と言ってきました。そこで早速その家に駆けつけましたが、随分と苦しそうでした。そこで、その人の頭に手を置いて祈りました。その時に与えられたみ言葉は「汝、御霊をいだしたまわば、百物みな造られる。汝、地のおもてを新たにしたもう」(詩篇104篇30節)のみ言葉でした。お祈りが終わって帰ろうとしましたが、最後のバスは終わっていました。上野発の最終列車の時間まで二時間ほどありましたので、そのまま病人の枕元で祈り続けました。家族の人たちは狭い家で他に行くところがなく、一緒に座っていました。やがて最終列車の時間になりましたので帰りましたが、長野駅に着いたのは午前一時過ぎでした。翌朝、家族の方から電話があり、「先生、昨晩はありがとうございました。父は先生が帰られてからしばらくしてゴウゴウといびきをかいて眠り、今朝はすっきりした顔で起きてきました」と知らせてくれました。 
                  (2016.1.24)