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2016年1月10日

イエスの宮潔の意義

『さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた』。(ヨハネ福音書２章１６節)

今日はイエスがエルサレムの神殿でなされた宮潔の意義についてお話します。過越の祭が近づいたのでイエスは弟子たちと神殿に来たとき、神聖であるべき神殿の庭は商いをする人たちの喧騒で騒々しいものでした。そこでイエスはこの商売人の屋台をひっくり返し、「わたしの父の家を商売の家とするな」と言って、縄の笞で彼らを追い散らされたのです。こんなことをしてもイエスがいなくなれば、また彼らは戻ってきて商いをするに違いありません。しかし、これは、神殿は神聖な所だということを知らせたのです。

過越の祭はユダヤ教の三大祭りの一つで、そのなかでも最大の祭りでした。そのためこの日は、国中から多くの人たちが集まり、外国に住んでいるユダヤ人たちもエルサレムに帰って来ましたので、２００万から３００万人もの人が集まったと言われています。

この過越の祭は、ユダヤ民族の起源を示すもので、今から約３５００年ほど前に、エジプトに奴隷になっていたユダヤ人たちが、モーセによって導き出された時を起源としています。このとき、イスラエルの民は小羊を殺して、その血を家のかもい(門)に塗ったので、その家は天使が過越ましたが、かもいに血を塗っていないエジプト人の家では初子が殺されるという悲劇が起こったのです。その間にイスラエルの民はエジプトを脱出しました。このときをイスラエル民族の起源とされて、今日までも過越の祭が守られてきたのです。

さて、イエスが鳩を売る者、両替する者の屋台をひっくり返しても、イエスがいなくなれば、また彼らは戻ってきて商いをするでしょう。しかし、これはイエスの象徴的行為で、これを通して大切なことを教えようとされたのです。それは、神殿は神聖なところだということを教えられたのです。マタイ福音書２１章１３節にあるイエスの宮潔めの記事には、「『わたしの家は祈の家ととなえらるべきである』と書いてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている」と言っておられます。鳩を売る商売は、もともと遠方から来る巡礼者の便宜を計ったものでした。それは遠方から羊や牛など連れてくるのは困難だったからです。また両替商は外国から来る巡礼者の便宜のためにはじまった商いでした。それは外国から来る巡礼者が持ってくる貨幣はローマ皇帝の肖像が刻まれているので、神殿で献げるのは相応しくないと、イスラエルの貨幣に両替をしてもらって献げたのです。ですからこの商いは本来ボランティアのようにしてはじまりましたが、いつしか金儲けを覚えて貧欲な商売となったのです。

もういちど言います。神殿は神を礼拝するところです。ですからいつも潔く保っていなければなりません。次に、コリント前書三章十六節に『あなたがたは神の宮であって、神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか。もし人が、神の宮を破壊するなら、神はその人を滅ぼすであろう。なぜなら、神の宮は聖なるものであり、そして、あなたがたはその宮なのだからである』とあります。わたしたちが罪人であったときには魂は罪に汚れた状態でしたが、イエスを信じた結果、十字架の贖いにより、流された血潮により罪が赦されました。そして魂は御霊によって潔められたのです。そして今や神の御霊が内住する聖なるところとされたのです。ですから肉の思いなどで汚してはなりません。そして聖なる神は汚れたところにはお住みになりません。聖書に「わたしが聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者になるべきである」 (ペテロ第１書１章１６節)とあります。聖書の神は聖なる神です。ですから聖なる所に内住なさいますが、汚れたところには住みなさいません。クリスチャンがこの世の人と違うところは「潔め」です。またこの潔めがあるから人々から尊敬されるのです。

昔、エイズの問題が起こったとき、日本中騒然としました。そして心に覚えのあるたちは保健所に殺到したそうです。そのとき、あるテレビ番組でエイズの問題の座談会をしていましたが、そのなかであるパネラーがこんな発言をしていました。「これからはクリスチャンのような真面目な生きかたをしなければなりませんね」と。それを聞いてわたしは、世のなかの人はクリスチャンをそのような目で見ているのかと教えられました。そうですクリスチャンはその潔さのゆえに尊敬されているのです。ですから、わたしたちはその潔さを大切にしていきたいものです。天国は神の臨在する聖なる所です。そしてそこに入れる者は潔められた聖徒だけです。

　　　　　　　　　　　　　　　（2016.01.10）