本文へスキップ

message

2015年10月4日

 

 

 

ガリラヤ湖の信仰にならう

 

 『わたしは、あなたがたもこのように働いて、弱い者を助けなければならないこと、また『受けるよりは与える方が、さいわいである』と言われた主イエスの言葉を記憶しているべきことを、万事について教え示したのである』(使徒行伝2035節)

 

 2017節以下はパウロが第三回伝道旅行のときに、ミトレという町にエペソの教会の長老たちを招いて決別の説教をしたところです。そして、この伝道旅行はパウロの最後の伝道旅行となりました。エペソの教会は前回に話したように、ユダヤ教の会堂を追い出されて、ミラノの講堂に導かれ、三年間も伝道した教会です。

 

 そして決別の説教の最後に「受けるよりは与える方がさいわいである」と、とても印象的なことを語られたのです。ここに「と言われた主イエスの言葉を…」とありますが、イエスの生涯を書いた四つの福音書のどこにも、この言葉は見当たりません。おそらくイエスが語った弟子たちが語り伝えていたものに違いありません。ですからわたしたちも、このみ言葉のように「受けるよりは与える」者とされたく思います。そうすれば神はその者をまた豊かに祝福してくださるのです。

 

 パレスチナの地に二つの大きな湖があります。一つは北にあるガリラヤ湖で、もう一つが下の方にある死海です。この二つの湖は性質が大きく異なるのです。北のガリラヤ湖は豊富な魚が住み、イエスの弟子になったペテロたちはこのガリラヤ湖の漁師でした。ところが、ヨルダン川で繋がっている下手の死海はその名のとおりに魚が住まない死の湖なのです。何故こんなに違うのでしょうか。

 

 ガリラヤ湖からヨルダン川を下る水が途中の岩塩の層で塩分を含み死海に注いでいたのです。ところが死海は海抜が地中海より低いために外に排出する川がなく溜まるばかりで、水分は太陽によって蒸発するので、死海の塩分濃度は濃くなりました。因みに地中海の塩分濃度が3パーセントであるのに対して死海の濃度は23パーセントで、7倍以上高いのです。ですから魚は住むことができないのです。正しく死の海です。このように塩分濃度が高いので、泳げないかなづちの人でも水に浮くそうです。

 

 つまりガリラヤ湖は与える湖で北にヘルモン山から流れ注がれる水をどんどんヨルダン川で下流に流すので、ガリラヤ湖の水はいつも新鮮で豊富な魚が住んでいるのです。他方死海はヨルダン川から流れ込む塩分を含んだ水をただ受け入れるだけで、外部に排出することができないので(他へ与えることをしないので)、死の湖となってしまったのです。わたしたちも死海のように受けることだけしないで、恵みを分け与える人となりたいものです。『受けるよりは与える方がさいわいである』。

 

 阪神大震災から20年になりました。この年はわたしたちの人生の一里塚となり、なにかを言う時に「震災から何年」と言うようになりました。教会も多大な被害を受けました。

神戸の山手教会が被害を受けたということで、活水の群の教会や信徒の方々からたくさんのお見舞いをいただきました。郵便配達の人が毎日現金封筒を束にして届けてくれました。そこで開封して見るとちょうど300万円ありましたので、それを前にして神に感謝のお祈りをしました。「これで教会を修復しますから、送って下さった人を祝福してください」と。

ところが、お祈りをしているときに示されたのです。「教会の修復は後にして、全壊して困っている人を見舞ってやりなさい」と。そこで教会員で全壊している人を調べてみると30人ありましたので、10万円ずつ現金封筒に入れて「これは活水の群の教会と信徒が下さったお見舞いです」と手紙を入れて送りました。

 

 そして、その後で「あなたの言われたとおりにしました。教会の修復の事はあなたにおまかせします」と祈りました。ところが数日後に火災保険の代理店の人がきて「本社から査定に来ますから宜しくお願いします」と言って帰りました。そこで火事にもなっていないのにどうしてか」と思い、契約書を見ると「地震特約」と書いてあったので驚きました。それから数日後に本社から査定に来て「これは半壊ですから、480万円差し上げます」と言って帰りました。私は300万円を皆さんに差し上げたら神様は480万円にして返してくださったと感謝しました。ところが、また数日後に保険会社から電話があり「先日、半壊と査定しましたが、あまりにご近所の被害が大きいので変更します」と言ってきたので、わたしは複雑な思いで次の言葉待ちました。すると、「教会も全壊と判定して960万円を差し上げます」と言ったのです。

 

 神は300万円を全壊の教会員に差し上げたら、なんと960万円にして返して下さったのです。まさしく『受けるよりは与える方が、さいわいである』のみ言葉のとおりに神はしてくださったのです。皆さんも、受けるばかりの信者になるのではなく、恵みを分け与える信者になってください。

2015.10.4