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2015年8月23日

                                       

 

 挫折したマルコも

 

『ペテロはこうとわかってから、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家に行った。その家には大ぜいの人が集まって祈っていた。』

(使徒行伝12章12節)

 

 

 今日は人生の挫折を乗り越えたマルコの話をします。彼はイエスの十二弟子ではありませんが、キリスト教会のために大きな働きをした人です。それはイエスの生涯と働きを書いた福音書のいちばん元となると言われている「マルコによる福音書」を書いたからです。しかし、若いころには失敗をした人で、人生の挫折を味わった人でした。しかし、神は彼の悔い改めを受け入れて立ち直らせたのです。

 

 マルコの母は大変恵まれた人で、自分の家を開放して集会の場所に提供しました。これが「家の教会」です。因みに、使徒行伝1章のペンテコステの待ち望みの祈り会をしたエルサレムの家はマルコのお母さんの家だと言われています。また12章のペテロがヘロデ王に捕らわれて牢獄に入れられたとき、「教会では、彼のために熱心な祈りが神にささげられた」とありますが、この家もマルコのお母さんの家でした。

 

 マルコのお母さんの家はこのように用いられたので、この家にはいつもイエスの弟子たちや、恵まれた信者たちが大勢出入りしていましたので、マルコもこのような恵まれた環境で育ったのです。

 

 さて、パウロたちの「第1回伝道旅行」に、パウロの同労者であるバルナバと彼の甥であるマルコが一行に加わり同行しましたが、マルコはパンフリヤまで来たとき、一行から身を引いてエルサレムに帰ってしまいました。これは、若いマルコにとって初めての海外旅行のため不安になったのではないかと推察されます。「ホームシックになったのだろう」と言う人もいますが、とにかく挫折をしてしまいました。このことが後になって大きな問題を起こしました。

 

「第二回伝道旅行」の出発するときになって、パウロとバルナバとの間で激論をしたのです。それは、バルナバがマルコを連れて行こうとしましたが、パウロは前回に途中で挫折して逃げ帰るような者は連れていかないと反対したからです。そこで二人は袂を別けて行動をすることになりました。パウロは厳しい人でしたからマルコの行動を許せなかったのです。

 

 このようなマルコでしたが、後に悔い改めましたので彼は立ち直ることができたのです。そして神は彼を尊く用いて、さきほど言った「マルコによる福音書」を書かせたのです。どんな人でも悔い改めたら、立ち直ることができるのです。

 

 また彼が悔い改めたのでパウロもマルコに対する認識が変わってきました。それは彼の書簡のなかにも、「わたしの同労者、マルコからもよろしく」とあったり、「マルコを連れて、一緒にきなさい。彼はわたしの務めのために役に立つから」(テモテ後書4章11節)と言っていることからも分かります。

 

 さて、若い時にはよく失敗をして挫折をしたりするものですが、神は一度や二度失敗をしたからと言って、「お前のような者は駄目だ」「信用ならぬ」とは言われません。悔い改めて神に立ち返るなら赦してくださるのです。神は審きの神ではなく赦しの神です。イザヤ書44章22節に『わたしに立ち返れ、わたしはあなたをあがなったから』とあります。

 

 新約聖書のルカ福音書15章に「放蕩息子」の譬え話があります。これは大きな農場の息子が家を出て放浪しましたが、どん底に、行き詰まったときに、こんな所で行き倒れになるより、父親のところに帰って、雇い人にでもしてもらおうと帰ってきたとき、父親はその放蕩息子を許して、子として迎えいれたのです。息子は「父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません」と言ったとき、父は僕たちに「さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい」と僕に言いつけました。それは放蕩息子を子として迎え入れたのです。

 

 そして、「このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなってていたのに見つかったのだから」と言って帰還を喜んだのです。これは神の愛です。神は悔い改めて立ち返る者を赦して迎えてくださるかたです。ですから、わたしたちも神から離れて失敗したとき、恐れないで神の愛を信じて立ち返るなら、喜んで迎え入れてくださいます。

 

 もう一度、マルコの話に戻りますが、彼は第一回伝道旅行のときに、若気の至りで失敗しましたが、彼が心底から悔い改めたとき、神は赦して神の器として尊く用いられたのです。

 

 わたしたちも、人生の失敗をしたとき、恐れずに悔い改めて神のみ元に帰るなら、神は赦して迎えてくださいます。

               2015.8.25