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2015年8月16日

                                       

 

 終戦記念日に平和を考える

 

『あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい』

(ローマ人への手紙12章18節)

 

 

 昨日は七十年目の終戦記念日を迎えました。そこで今日は「平和」について考えたいと導かれています。人類が平和であることは神の願いであります。そしてイエスもマタイ福音書の山上の垂訓で、『平和をつくりだす人はさいわいである。彼らは神の子と呼ばれるであろう』と語っておられます。それだのになぜ人は争うのでしょうか。

 

 ある歴史学者の説によれば、「人類の歴史は戦争の歴史だ」と報告しています。そしてなお、「数千年の歴史の4分の3は、地球上のどこかで戦争、または紛争が起こっている」と言っています。またある学者はもっと具体的に、「過去3500年の間に902回の戦争があり、1516回の内乱があった。それも20世紀に入ると8倍になった」と発表していました。そして、今も地球上のどこかで戦争、紛争が起こっていることは皆さんの自明のことです。

 

 獰猛な肉食動物のライオンでさえ、自分の必要以外の殺戮をしないのに、最も平和を愛さなければならない人類が、なぜこんな争いをするのでしょうか。それは人間が罪人だからです。ローマ人への手紙3章14節に「彼らの口は、のろいと苦い言葉とで満ちている。彼らの足は、血を流すのに速く、彼らの道には、破壊と悲惨とがある。そして、彼らは平和の道を知らない」とあります。ですから、われわれも神の前に悔い改めて、神と和解しなければ平和の人にはなれません。

 

 神は平和を愛する者を祝福してくださいます。今から三千年ほど前にイスラエルの統一王国のソロモン王の時代は、「ソロモンの栄華」と言われるほどに非常に繁栄した時代でした。そこで王は七年かけて神殿建築をし、また十三年かけて王宮を建築しました。つまり二十年間ものあいだ建築事業に没頭することができたのは、「四方に太平を賜ったから」と聖書に書いています。つまり、ソロモンの時代は近隣の諸国と平和だったからです。神は平和を守る者たちを愛してくださるのです。

 

 今日の日本の繁栄は、戦後、日本が新憲法で戦争放棄をして、日本人の叡知を平和産業に注いできたからです。昔は「メイドインジャパン」と言えば、「安かろう、悪かろう」という粗悪品の代名詞のようなもので、わたしたちも子供ながらも恥ずかしく思っていました。ところが、今や「メイドインジャパン」と言えば高級品のことで、世界中の人々が競って買い求めており、日本人としては誇らしく思えます。これも日本が平和を求めて平和産業に力を注いできたからです。

 

 ところが最近、再び憲法改正論議が起こったり、戦争を経験しない政治家たちが「安全保障関連法案」を改正し、集団的自衛権の行使を認めようとしています。日本が再び誤った道に進まないように祈らなければなりません。

 

 第二次世界大戦の戦勝国であったアメリカは、太平洋戦争の終結後、まもなく北の共産軍が南下したとして朝鮮戦争に参加しました。しかし共産軍の南下は三十八度線で阻止したものの休戦状態で終わり勝利無き戦いでした。(今も南北朝鮮は休戦状態で、いつ再び戦争が起こっても不思議でない状態なのです)。その後、フランスの植民地であったベトナムの共産軍の南下を阻止するためにアメリカもフランスに代わって参戦して熾烈な戦いをしましたが、共産軍の南下を阻止することができずサイゴンは陥落し、アメリカ軍は撤退したのです。まさしく勝利なき敗北でした。

 

 次に、1990年にイラクのフセインがクエートに侵略したため、フセインの野望を挫くためにイラクに軍隊を投入しました。これが湾岸戦争です。フセイン政権を倒したものの完全な勝利とは言えませんでした。またアルカイダを殲滅するためにアフガニスタンに兵力を投入したり、また今もイスラム国(IS)の暴挙を挫くために泥沼のような戦闘を続けています。世界の警察という使命はいいのですが、そのためにアメリカの国力は著しく低下してしまいました。

 

 70年前の戦後、日本円は1ドル360円でしたが、昨今は1ドル120円を上下しています。これはアメリカドルの値打ちが下がったということです。戦争は多くの命を奪うだけでなく、国力を失うのです。第二次世界大戦の勝利国であるイギリスは、敗戦国のドイツよりも多くの犠牲を破ったと言われています。つまり戦争には本当の勝利国はないのです。

 

 ガラテヤ書5章22節『御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、忠実、柔和、自制』とあります。罪人の人間には人々と平和であることはなかなか困難です。本当の平和は神から聖霊の力が与えられて、初めて得ることができるのです。クリスチャンこそ平和をもたらせるものです。

 

 

                     2015.8.16