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主が見守っておられます

【新年標語】
『安心して行きなさい。あなたの行く道は主が見守っておられます』。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（士師記９章６節）

　これが今年、山手教会に与えられた新年標語です。ここに「あなたの行く道は…」とありますが、これは「あなたの一年間は」、神が見守ってくださるという意味と考えてください。ですから今年も、神を信じて行きたいものです。

　詩篇１３９篇８節に『わたしはどこへ行って、あなたのみたまを離れましょうか。わたしはどこへ行って、あなたの前をのがれましょうか。わたしが天にのぼっても、あなたはそこにおられます。わたしが陰府(よみ)に床をもうけても、あなたはそこにおられます。わたしがあけぼのの翼をかって海の果てに住んでも、あなたのみ手はその所でわたしを導き、あなたの右の手はわたしをささえられます』とあります。

　つまり、神はわたしたちがどこにいても、わたしたちと共にあって守り導いてくださるのです。「翼をかって海の果てに住んでも」、とありますが、遠く海外にいても、地球の裏側にいても、神はそのところにいて見守ってくださるのです。わたしはいつも海外に行かれる方に、このみ言葉でお祈りをします。

　さて、今日はヨセフの話をします。彼は波瀾万丈の人生を送った人です。アブラハムの孫にあたるヤコブの11番目の子供で、弟のベニヤミンが生まれた直後に母は亡くなりましたので、不憫に思った父はヨセフに寂しい思いをさせないために、いつも自分の側に置いて可愛がりました。父は「どの子供より彼を愛して、彼のために長袖の着物を着せた」とあります。この「長袖の着物」とは王女の着るものだと、サムエル記下１３章１８節にあります。それほどヨセフを溺愛しました。そのためにヨセフも増長し、父の愛を独り占めしようと、兄たちの悪い噂を父に告げ口をしたり、兄たちが自分を礼拝したという、自分の見た夢を吹聴したのです。そのために兄たちの憎しみをかい、ある日、荒野で兄たちに捕らえられエジプトの奴隷商人に売られてしまいました。

　そしてヨセフはエジプトで王に仕えるポテパルに買われ、その家に仕えることになりましたが、彼は自暴自棄にならず仕えましたので、主人から信用され、主人の家のなかのことをすべてヨセフに任せるほど信用を得たのです。これは「主がヨセフと共におられたからである」とあります。神は遠くエジプトの地にまでいて見守ってくださったのです。まさしく「わたしがあけぼのの翼をかって海の果てに住んでも、あなたのみ手はわたしを導き…」とあるとおりです。

　また主人ポテパルの妻から誘惑されたときも、それをはねつけたために、逆に恨まれてありもしない罪を着せられて獄に投げ込まれてしまいました。そのときも看守が獄内のことはすべてヨセフに任されるほど信用を得たのです。それは「主がヨセフと共におられたからである。主はヨセフのなす事を栄えさせた」と聖書には書いてあります。

　その獄中生活も１３年も経ったある日、王は奇妙な夢をみましたが、だれもそれを解き明かすことはできませんでした。それは王が見た夢を明かさないで当ててみよと言うのですから無理難題です。それを聞いたある人が「ヨセフと言う人がわたしの夢を解き明かしてくれた」という報告を聞き、王はヨセフを呼び出したのです。

　するとヨセフはその夢を見事に解き明かしたために、獄中から引き出されただけではなく、穀物を扱う大臣の位に据えられたのです。

　その夢は７年間の豊作の後に７年間の凶作が起こるという夢でしたが、その通りになりましたので、ヨセフは国中の穀物を全部買占めて蔵に収めました。そして夢のとおりに７年間の凶作になりましたが、ヨセフは蔵の穀物を放出してエジプトの民を救いました。

　ところが、飢饉はエジプトの地だけでなく、ヨセフの故郷であるカナンの地も飢饉で食糧に困難しました。そこでヤコブは子供たちに、エジプトに行って、穀物を買い出ししてくるように命じました。そして兄たちはヨセフに会いましたが、兄たちはまさかこの大臣が自分たちの弟とは想像できませんでしたが、その大臣がヨセフであることを知り、驚いたことは言うまでもありません。そのときヨセフは兄たちを赦し、父たち一族をエジプトのゴセンの地に迎え入れたのです。この地は牧草の豊かな地で遊牧民には最適な地だったので、イスラエル民族は４００年間、その地で過ごしました。

【なぜヨセフはエジプトで優遇されたのか】

　ヨセフがエジプトに連れて来られた時代は「ヒクソク」がエジプトを支配していた時代でした。彼らはヨセフと同じセム系の海洋民族で、地中海側からエジプトに上陸して戦車で平原を駆けめぐり、歩兵中心のエジプト軍を蹴散らし、奥地に追いやってＢＣ１７００年からＢＣ１５５０年まで約１５０年間この地を支配したのです。もしエジプト王朝が支配していた時代だったら、彼らは長い歴史と文化をもつ民族だったから、遊牧民であるヨセフたちを信用しなかったと思われます。

　　　　　　　　　　　　　（2015．1．1）