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2014年11月16日

「イエスの譬話」シリーズ①

 

岩の上に建てられた家

 

『わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである』(マタイ福音書724節)

 

 

 今日からイエスの譬話シリーズとしてお話しします。イエスは譬話を上手に使い、だれにも物事を明確にするために上手に話をしておられます。そして今日は第一回目として「岩の上に建てられた家と砂の上に建てられた家」とを対比して、われわれの人生の大切なことを学びます。

 

 譬話は、ある人が家を建てるときに岩の上にたてました。またもう一人は砂の上に建てましたが、どちらの家も遜色のない立派な出来ばえでした。ただ違ったのはその家を建てた場所で、一人は岩の上に建て、もう一人は砂の上に建てました。ところが、大雨が降り、洪水になったとき、岩の上に建てられた家は無事でしたが、砂の上に建てられた家は流されてしまったというのです。

 

 そしてイエスは岩の上に建てられた家が無事だったのは、「岩を土台としていたから」と説明をしています。コリント前書104節には『この岩はキリストにほかならない』とあります。われわれの人生もいつも平安無事とはかぎらず、いつ思いがけない災難に遭遇するかわかりません。でも、岩なるイエスを土台としているなら、どんな試練や災難に遭遇して磐石でおられるのです。

 

 それに対して、砂の上に家を建てるなら、洪水が襲来したときに危険きわまりないことです。ですから、イエス・キリストを信じ、その教えという土台に人生の土台を建てたいものです。

 

 1964年(昭和39年)といえば、いまから丁度50年前のことです。新潟大地震が発生しましたが、マグニチュード7.5の大地震でした。そのころ私は隣りの長野県におりましたので、東京の教団本部から、新潟に行って状況を視察してきてほしいと依頼され、地震の二日目に新潟市に入りました。駅頭に立ったとき、レールが飴のように曲がりくねり、また大きな駅前の広場の建物(ビル)が半分地下に埋もれて半地下状態になっているのをみて驚きました。

 

 また、少し町外れに立つ市営住宅群がまるでドミノ倒しの様に倒れていました。このとき建物の中にいた人はどんなにか怖かった事でしょう。そこでわたしは小学生のときに学んだことを思い出しました。「新潟市は信濃川の河口にある町で、上流から流された土砂が堆積してできた三角州のような町である」。まさしく砂の上の町で、聖書どおりの街だったのです。

 

 話は変わりますが、今から30年ほど前にアメリカのニューヨークを訪問しました。到着したのがだいぶ夜が遅かったのですが、ケネディー国際空港からニューヨークにあるマンハッタン島に向かいましたが、その高層建築の乱立している有り様を目の当たりして、目の見張る思いがしました。そしてこれらの高層建築群がよく地盤沈下をしないのが不思議に思えました。そこで日本に帰って本を読んで調べてみると、マンハッタン島の地下には大きな岩盤の層があり、その上に土台の基礎をおいているので磐石であることを知りました。

 

 1995年(平成7年)117日に阪神大震災が発生してまもなく20年になります。ようやく神戸の街も復興して以前より綺麗な街に生まれ変わりましたが、あの震災当初は大変でした。

 

 教会の周辺地域のほとんどの木造家屋が倒壊しさんざんたる光景でした。教会の西側の家屋はほとんど倒壊していました。この地域は戦時中に空襲から守られ、ほとんどの家屋が百年以上でしたので、もろくも倒壊してしまいました。また西側も同様に倒壊し、教会の食堂からモダン寺まで見通すことのできるような有り様でした。

 

 勿論、教会も建物が少し南に傾き、壁が落ちガラスが破れた状態でしたが、何とか守られましたので、街の人たちを教会堂の中に迎えて収容することができました。また瓦礫の中から引き出された遺体を五体も迎えて安置することができました。この教会の働きは近隣の人たちから喜ばれ、また近隣の人たちの教会に対する眼差しが好意的で、温かく感じられるようになりました。

 

 同じ木造建築なのに教会だけが倒壊を免れたのは何故でしょうか。それは建物の基礎にありました。教会の基礎(土台)は、普通の家屋の基礎と違って、非常に頑強な基礎でできていましたので、あの激震に耐えることができたのです。まさしく岩の上に建てた家です。

 

 そのように、われわれの人生もいつ何が起こるかわかりません。しかし、イエス・キリストという信仰の上に人生の基礎を建てるなら、どんな事が起っても安心です。

 

 『砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである』(26節)

 

 

讃美歌304

 真実なるみかみを たのめるもののみ

 岩の上に家をば  建てしひとのごと

 なやみのときにも 動くことなからん

                       (20141116