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2014年5月18日

子どもの心を大切に

 

『わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みにしずめ沈められる方が、その人の益になる』(マタイ福音書186)

 

 わたしたち大人は、「幼な子を躓かせないように」気をつけて育てなければなりません。そして、幼な子を正しく育てることが親としての責任であり、また正しい信仰に導き育てることが親の責任です。

 

 箴言226節に『子をその行くべき道に従って教えよ、そうすれば年老いても、それを離れることがない』とあります。子供のときの宗教教育は大切です。子供のときに育てられた信仰は、その人の人生のバックボーン(背筋)となるからです。話が分からなくても、少々騒いでも教会に連れてきて臨在()に近づけることが大切です。

 

 今から75年ほど前のことですが、バックストン先生が来日され、日本各地で集会がもたれました。そして軽井沢での集会のときのことです。あるお母さんが小さな子供を連れて出席しましたが、子供ははじめのうちは静かにしていましたが、しだいに退屈して足をブラブラしだしたのです。するとその靴がベンチに当たってコツコツと音がしました。すると前に座っている人が後ろを向いて「静かにするように」と合図をしたのです。そこで子供に言って静かにさせたのですが、退屈した子供がまた足を揺らしてコツコツとはじめたのです。するとまた前の人が後ろを向いて合図をしました。

 

 お母さんはたまらなくなり、会場のいちばん後ろの席に移って、子供をあやしながら、一生懸命に話を聞いたそうです。ところが集会が終わったときに、バックストン先生が講壇から降りて自分たちのほうに来られるので、そのお母さんは、先生に叱られると思って覚悟をしたそうです。すると先生は優しそうな顔で、「子供を臨在に近づけることはいいことです。話は分からなくても聖霊は皮膚からでも入ります」と言われたのです。そして、そのときの子供が何十年かの後に、ある有名な教団の指導者(牧師)となったのです。

 

 次に、「幼な子を躓かせないように育てる」ことが大切です。何故なら、子供は純真で疑うことを知りません。親の言うことはそのまま信じるからです。ある人がこんな話をしていました。親の言うことをきかないでいると、「お前はうちの子ではない。橋の下から拾ってきた子だ」と言われました。するとその少年はずっと大きくなるまでそれを信じていたそうです。こんな冗談を子供は真剣に悩むのです。それは子供には「本気と冗談」の区別がないからです。ですから、決して子供をからかったり、冗談を言ってはなりません。

 

 コロサイ書321節『子供をいらだたせてはいけない。心がいじけるかもしれないから』。子供の心を大切に育てていきたいものです。この頃「幼児虐待」という言葉をよく耳にします。そして日常茶飯事のように事件が起こります。「幼児虐待を受けた子供は、生涯、心に癒されがたい傷となり、その子供が大人になったとき、こんどは子供を虐待するようになる」と言われています。

 

 最後に、「子供を親の感情の犠牲にしてはなりません」。いらいらすると子供に当たり散らす親がいます。子供には迷惑なことです。これを「親の八つ当たり」と言います。

 

 黒柳徹子さんと対談する番組をみました。その日の相手は、以前からシャンソン歌手としてよくテレビに出ていた人でした。ところが、その日は「料理研究家」という肩書でした。対談の内容で、彼女がしばらくテレビにも登場しなかったのは、結婚して子育てをしていたのがわかりました。その対談を聞いていましたが、よく喋る人で、黒柳さんもいいかげん早口でよく喋る人ですが、その人が顔負けするほど早口でよく喋るのです。

 

 その彼女がこんな話をしていました。子供がのろまでガミガミ注意していると、あるときから子供の顔が顔面神経痛のようになり、おかしな癖がはじまったのです。そこで、それが治るようにきつく注意するとますます癖が激しくなりましたので、近所の小児科に連れていきました。そして、その医院で子供の状態をペラペラ話していると、女医さんは「お母さん、子供さんの癖の原因がわかりました。ちょっと隣の部屋にきてください」と子供から引き離されました。そして女医さんは「子供さんの癖の原因はお母さんです。お母さんのガミガミです。子供さんをよくしたいと思うなら、これから二ヶ月間、どんなにのろまでもなんにも言わないで、じっと我慢しなさい。子供の癖はきっと治ります」と言われたそうです。

 

 それからは、どんなにグズグズしていても、じれったく思ってもじっと我慢をして何も言わないでいたら、いつの間にか癖が治っていたのです。つまり子供はしらずしらずのうちに親の感情の犠牲になっていたのです。『子供をいらだたせてはいけない。心がいじけるかもしれないから』。

 

 そこで、わたしたちも神から聖霊の力をいただき、心豊かな人間にされたいものです。そうすれば心穏やかに子供に接することができるようになれます。                  (2014.5.18